「車両の省エネ改修を進めたい」「ブレーキ時に生まれる電力を、もっと有効に使いたい」。
こうした課題を持つ鉄軌道事業者様が検討したい制度が、鉄道事業等におけるネットワーク型低炭素化促進事業です。
三次公募の申請は、令和8年12月23日(水)正午まで受け付けています。
本記事では、対象となる設備や事業者、補助対象経費の上限と補助率、申請準備で確認しておきたいポイントを紹介します。
1.鉄道事業等におけるネットワーク型低炭素化促進事業とは?
本事業は、車両の消費エネルギーを抑える改修や、減速時に発生する回生電力を活用する設備などを支援し、
鉄道システムのCO2排出量削減につなげる制度です。
環境省と国土交通省が連携する事業で、一般社団法人地域循環共生社会連携協会が公募を実施しています。
三次公募では「車両省エネ」「回生電力」「先進省エネ」の3区分を募集しています。
「車両新造(1-①)」は、令和7年度以前に採択された複数年計画のみが対象で、新規募集はありません。
設備更新を検討する際は、改修内容がどの区分に当たるかを先に確認しましょう。
申請できるのは、鉄道事業の許可や軌道事業の特許を持つ事業者、所定の条件で設備をリース等により提供する者などです。
利用できる区分は事業者の分類によって異なります。
本事業の「中小事業者」は、国土交通省の鉄軌道事業者一覧に基づく分類で確認します。
2.三次公募のスケジュールと申請方法
締切は12月23日の正午(12:00)必着です。
提出資料の確認や電子申請にかかる時間を見込み、余裕を持って準備しましょう。
| 項目 | 日程・方法 |
|---|---|
| 申請受付開始 | 令和8年10月5日(月) |
| 申請締切 | 令和8年12月23日(水)正午必着 |
| 提出方法 | 原則としてJグランツ。やむを得ず利用できない場合は電子メール |
| 今年度分の事業完了期限 | 令和9年2月28日 |
Jグランツの利用にはGビズIDが必要です。
代表申請者のアカウントや申請権限を早めに確認してください。
紙の申請書類の提出は不要です。
応募申請書・実施計画書・経費内訳は、公式サイトの事業区分に対応した様式を使用します。
事業実施期間は原則2年度以内ですが、複数年度の計画でも交付申請は年度ごとに必要です。
翌年度の補助は予算措置等が前提となるため、年度別の工事内容と経費を分けて整理しておきましょう。
3.対象設備・補助対象経費の上限と補助率
車両省エネ|省エネ設備の導入による車両改修
1件当たりの補助上限額は設けられておらず、補助金額の下限は1億円です。
SiC・ハイブリッドSiC又はIGBTを用いたVVVFインバータ制御装置などを導入する車両改修が対象です。
1車両が1km走行する際の電力量等で示すCO2排出原単位を、導入前より40%以上削減することや、
対象車両の運行に再生可能エネルギー由来の電力を活用することが求められます。
IGBTを用いる場合は中小事業者に限られ、モーターも同期電動機に限られます。
補助対象経費の上限は、120,000円/t-CO2 × 年間CO2削減量(t-CO2/年)× 法定耐用年数(年)です。
補助率は、中小事業者・準大手・公営事業者・大阪市高速電気軌道株式会社が1/2以内で、JR・大手民鉄はこの区分の対象外です。
回生電力|車両間や駅舎等で電力を活用する設備
回生電力をほかの車両へ融通する設備、電力を蓄える装置、駅舎で利用するための補助電源装置などが対象です。
単体の設備仕様に加え、路線又は区間全体の省CO2化計画を作成し、計画に沿って設備を導入する必要があります。
補助対象経費の上限は、100,000円/t-CO2 × 年間CO2削減量(t-CO2/年)× 法定耐用年数(年)です。
補助率は中小事業者が1/2以内、準大手・公営事業者・大阪市高速電気軌道株式会社が1/3以内です。
JR・大手民鉄はこの区分の対象外です。これら2つの計算式で求めるのは、補助金額そのものではなく、
補助率を掛ける前の対象経費の上限です。
例えば車両省エネで年間削減量を10t、法定耐用年数を13年と仮定すると、対象経費の上限は1,560万円となります。
対象となる実際の経費が1,000万円であれば、補助率1/2の場合の試算額は最大500万円です。
実際の金額は審査・交付決定等により決まります。
先進省エネ|従来品との差額を支援
審査委員会があらかじめ認定した設備・システムの導入が対象です。
具体例は、ディーゼルハイブリッド車両の蓄電池等、永久磁石同期モーター、同期リラクタンスモーターです。
CO2排出原単位の40%以上削減が要件となり、ディーゼルハイブリッド車両では、
代替燃料の活用等を含む今後の脱炭素化計画も考慮できます。
モーター導入車両には、再生可能エネルギー由来の電力活用も求められます。
補助対象は従来品との差額であり、その差額に対して中小事業者は1/2以内、
準大手・公営事業者・大阪市高速電気軌道株式会社は1/3以内、JR・大手民鉄は1/4以内の補助率を適用します。
導入する設備の見積書に加え、比較対象となる従来品の見積書も準備してください。
4.申請前に整理したい資料と実施計画
申請では、設備を導入する必要性とCO2削減効果を、根拠資料で説明することが大切です。
設備メーカーや運行・電力管理の担当部署と連携し、次の内容を整理しましょう。
| 確認項目 | 準備のポイント |
|---|---|
| 設備と導入場所 | 設備・車両の仕様書、図面、設置配置図をそろえ、対象区分と照合する |
| CO2削減効果 | 導入前後のエネルギー使用量、運行ダイヤ、削減量の計算過程と根拠を示す |
| 経費と資金計画 | 見積書・積算資料と経費内訳を対応させ、対象外経費を区分する |
| 実施体制と工程 | 年度別の工事・納入予定、事業終了後の運営体制を具体化する |
既存施設の撤去・移設・廃棄費用や、補助金の応募・申請手続きに係る費用などは対象外です。
また、同一の補助対象経費に国の他の補助金を重複して充てることはできません。
リースを利用する場合は、共同申請の体制や、補助金相当分をリース料から減額する条件なども確認してください。
契約・発注は、原則として交付決定後に行います。
採択通知だけで着手せず、交付申請と決定の手続きを確認しましょう。
補助金は事業完了後の実績報告、審査による額の確定、精算払請求を経て受領するため、支払いまでの資金確保も必要です。
導入後のCO2削減実績の報告や、取得財産の管理も見据えて計画を立ててください。
まとめ|対象区分と削減効果を確認して準備を進めましょう
三次公募を検討する際は、まず自社の事業者区分と導入設備が制度に適合するかを確認しましょう。
補助対象経費の上限、補助率、必要な削減効果を分けて整理し、
令和8年12月23日(水)正午の締切に向けて、根拠のある計画を準備することが大切です。
サポート行政書士法人では、補助金の活用に関するご相談を受け付けています。
制度の選定や申請要件の整理でお困りの事業者様は、お問い合わせフォームよりご相談ください。
