「停電時にも、避難所の空調や照明を使えるようにしたい」「災害への備えを見直すタイミングで、ガス設備の更新を進めたい」。
こうした課題を持つ事業者様が検討したい制度が、天然ガス利用設備による強靱性向上対策事業費補助金です。
令和8年度の三次公募では、停電に対応できるガスコージェネレーションシステムやガスヒートポンプエアコンの導入・更新を支援しています。
本記事では、公募日程、設備別の補助上限額、建物やガス供給の条件、申請準備のポイントを紹介します。
1.天然ガス利用設備による強靱性向上対策事業費補助金とは?
本事業は、災害時にも利用できる天然ガス設備を避難所等に整備し、地域のエネルギー供給と防災機能を強化する制度です。
資源エネルギー庁の補助事業として、一般社団法人都市ガス振興センターが公募を実施しています。
対象は、所定の建物に対象設備を導入・更新する法人です。
防災計画で指定された避難所や、国・地方公共団体、社会福祉法人、医療法人、学校法人が所有・運営する建物などが想定されています。
自治体との協定等に基づいて、災害時に避難者や帰宅困難者を受け入れる建物なども、条件を満たせば対象となります。
設備の種類だけでなく、設置する建物の用途と停電時の役割を確認することが大切です。
家庭用の設備は対象外であり、通常のガス設備の更新だけで申請できるものではありません。
2.三次公募のスケジュールと申請方法
三次公募は令和8年9月25日(金)に開始されました。
公式サイトが案内する公募締切は11月20日(金)23:59です。
ただし、公募詳細では予算終了までの募集とされているため、締切前であっても受付状況を確認しましょう。
| 項目 | 日程・方法 |
|---|---|
| 三次公募の受付開始 | 令和8年9月25日(金) |
| 申請締切 | 令和8年11月20日(金)23:59 予算の状況により早期終了に注意 |
| 申請方法 | 原則としてJグランツによる電子申請 |
| 事業完了期限 | 令和9年2月26日(金) |
Jグランツでは、GビズIDプライム又はGビズIDメンバーを使用します。
アカウントの取得状況や担当者の申請権限を確認し、必要書類をそろえてください。
やむを得ずJグランツを利用できない場合は、申請前にセンターへ相談し、認められた場合に限り電子メールで提出できます。
事業完了は、設備の設置だけではありません。
工事の検収と支払いを済ませ、実績報告を提出したうえで、確定検査に合格する必要があります。
令和9年2月26日までに一連の手続きを終えられるよう、設備の納期や工事期間から逆算して計画を立てましょう。
3.対象設備・補助上限額と対象経費
補助率は、いずれの設備も補助対象経費の1/3以内です。
補助上限額は1補助事業当たりの金額で、設備の種類とガス供給方式によって異なります。
| 対象設備 | ガス供給方式 | 補助上限額 |
|---|---|---|
| 停電対応CGS | 中圧ガス導管 | 2億4,000万円 |
| 停電対応CGS | 耐震性を向上させた低圧ガス導管 | 6,000万円 |
| 停電対応GHP | 中圧ガス導管又は耐震性を向上させた低圧ガス導管 | 6,600万円 |
停電対応CGS|電気と排熱を活用する設備
CGSは、発電時に生まれる排熱も活用するコージェネレーションシステムです。
本事業では、平時に電力系統と連系して運転し、停電した際にも再稼働又は運転継続ができる設備が対象となります。
通常時に排熱の利用先がない設備や、導入によってエネルギー使用量が増える設備は対象外です。
発電能力とあわせて、熱をどこで利用するかも整理しましょう。
停電対応GHP|停電時の空調機能を確保する設備
GHPは、ガスを利用するヒートポンプエアコンです。
停電時にも再稼働又は運転継続ができるものに加え、停電対応CGSと組み合わせて停電時に運転できるものも対象となります。
室外機だけで判断せず、必要な室内機や配管、停電時の電源構成まで含めてメーカー等と確認してください。
対象経費|本体以外の設計・工事費も確認
対象となる経費は、設計費、既存設備の撤去費、新規設備機器費、設備の設置工事費、敷地内のガス管敷設費です。
運転状況を確認する専用の計測装置も必要で、ガス事業者の料金計算用メーターとは区別します。
撤去に伴う廃棄物処理費や、設備を収容する建屋などは対象外です。
また、対象設備と対象外設備で共用するガス配管は、原則として所定の方法で経費を按分します。
見積書では、対象となる範囲と対象外の費用を分けておくと、資金計画を立てやすくなります。
4.申請前に確認したい建物・ガス供給・実施体制
まず、中圧導管又は耐震性を向上させた低圧導管によるガス供給を受けられるか確認しましょう。
申請には供給確認書等が必要です。
低圧供給の場合は管の材質や接合方法なども関係するため、ガス事業者への確認を早めに進めることが大切です。
建物区分のうち、災害時に避難所等として活用する「(イ)避難所としての機能が高い建物」では、
次の条件をすべて満たす必要があります。
これらは、この区分に適用される条件です。
| 確認項目 | 主な条件 |
|---|---|
| 自治体等との関係 | 地方公共団体との協定又は協定に準じる取組があること。協定見込みも含む |
| 設備の能力 | CGSは単機発電能力25kW以上。GHPのみの場合は室外機2台以上、かつ合計冷房能力112kW以上 |
| 停電時の機能 | 空調・照明・電気コンセントのうち2つ以上を、対象設備から避難スペースに供給できること |
対象設備は建物と同じ敷地内に設置し、災害時に機能を提供する屋内空間の床面積を明らかにします。
建物の平面図、設備配置図、配管・電気系統図、仕様書、見積書などをそろえ、実施計画書の内容と一致させましょう。
避難所協定を協議中の場合は、協議の議事録等も確認してください。
設備の所有者と使用者が異なるリースやエネルギーサービス等では、原則として共同申請となります。
役割分担や費用負担、補助金相当額の料金への反映も、契約を進める前に整理しておきましょう。
工事契約の締結は交付決定後に行います。申請しただけで契約や着工に進まず、交付決定を待ってください。
国の他の補助金との併用はできません。
自治体の補助金を組み合わせたい場合は、各制度の窓口に条件を確認する必要があります。
まとめ|設備・建物・工程を確認して申請準備を進めましょう
三次公募を検討する際は、補助額とあわせて、建物の防災上の役割、ガス供給方式、停電時に必要な機能を確認しましょう。
11月20日(金)23:59の締切と予算による早期終了に注意し、翌年2月26日までの事業完了を見据えて、
関係者との調整を進めることが大切です。
サポート行政書士法人では、補助金の活用に関するご相談を受け付けています。
制度の選定や申請要件の整理でお困りの事業者様は、お問い合わせフォームよりご相談ください。
