
はじめに
EV(電気自動車)の普及に伴い、マンション、オフィスビル、商業施設、公共施設、企業拠点などでEV充電設備の設置需要が急速に高まっています。
その際に大きな支援となるのが充電設備補助金ですが、2024年度以降のトップランナー制度変更によって、これまで補助対象だった変圧器やキュービクルが対象外となるケースが増える見込みです。
本記事では、EV充電設備の設置を検討している全ての申請者向けに、制度変更の影響、設置費用のポイント、変圧器発注調整の重要性、そして今後の対応策を解説します。
トップランナー制度とは
制度の目的
トップランナー制度は、業界で最も高い省エネ性能を持つ製品を基準として、省エネ基準の市場全体を引き上げる仕組みです。
従来は自動車や照明、エアコンなどを対象としていましたが、今後は高圧受変電設備(変圧器・キュービクル)も対象となります。
EV充電設備への影響
これにより、省エネ基準を満たさない変圧器は補助金の対象外となる見込みです。
従来であれば、補助金で数百万円単位の支援を受けられたものが、対象外となれば設置費用の大幅増加につながります。
EV充電設備設置費用の実態
費用構成
EV充電設備を設置するための費用は、単なる本体価格だけでなく、工事や電力設備費用が大きく影響します。
- 充電設備本体
- 普通充電設備:約20〜50万円/基
- 急速充電設備:約200〜500万円/基
- 普通充電設備:約20〜50万円/基
- 工事費用
配線・配管・基礎工事・分電盤設置など:数十万円〜数百万円 - 高圧受変電設備(変圧器・キュービクル)
電力容量不足時の新設・増設:数百万円〜1,000万円以上 - 課金・認証システム
課金機能やクラウド管理機能の導入:数十万円
特に、集合住宅やコンビニエンスストア、カーディーラーでは、変圧器・キュービクルの費用が全体コストを左右するケースが多く見られます。
変圧器やキュービクルの発注調整と納期リスク
なぜ発注調整が重要か
近年、世界的な資材不足や半導体供給難により、変圧器の納期は半年〜1年以上に達するケースが増えています。
充電設備本体が数か月で納入されても、変圧器が届かないために工事全体が遅延する事例が全国で発生しています。
補助金との関係
補助金は、申請から交付決定、交付決定から実績報告までに一定の期限があるため、変圧器の納期と補助金スケジュールの不一致が大きなリスクとなります。
早期の発注をしたら良いかというと、そうでもありません。
補助金制度上は交付決定が下りるまでは発注が出来ないためです。
そのため、申請者は早めに電力会社や施工業者に、
在庫をあらかじめ確保しておくなどといった調整が必要になります。
トップランナー制度変更による補助金対象外リスク
想定される影響
- 基準未達の変圧器は補助対象外→ 設置費用が数百万円単位で増加
- 集合住宅での設置計画にブレーキ→ 管理組合の負担が重くなる
- 企業や自治体の導入遅れ→ 計画の再検討や延期が必要
負担増の具体例
例えば、500万円のキュービクル導入を伴うEV充電設備設置で、従来なら補助率1/2で250万円が補助されていた場合、制度変更により対象外となれば500万円全額を負担する必要があります。
このような場合は、キュービクルとEV充電設備はセットで稼働する為、キュービクルのみを工事対象外にすることも出来ません。実績報告までに、キュービクルも設置する必要があります。
申請者が取るべき対応策
1. 省エネ性能を満たす変圧器を急ぎで選定・メーカーと要相談
補助金を活用するためには、トップランナー基準適合の省エネ型変圧器を導入することが必須となります。
導入して工事完了日を実績報告までにしないといけない為、急ぎの対応が必要になります。
併せて、交付申請と内容が異なる為、変更計画を別途申請をして、承認を得る必要があります。
2. 再エネ・蓄電池の活用
太陽光発電や蓄電池を組み合わせることで、系統電力への依存を減らし、変圧器容量増強を抑えることができます。
環境対応の面でも評価されやすい選択肢です。
3. 補助金制度の複合利用
国の補助金だけでなく、地方自治体や電力会社の支援制度を組み合わせることで、費用負担をさらに軽減可能です。
制度変更を「負担」から「チャンス」へ
トップランナー制度変更は、申請者にとって追加負担のリスクをもたらしますが、最新の省エネ型設備を導入する好機でもあります。
- 最新設備の導入で電力効率が向上
- 環境配慮の姿勢をアピールできる
- 補助金の適格を維持しやすくなる
つまり、早めに対応した申請者ほど、費用削減と環境価値向上の両方を実現できるのです。
まとめ
- トップランナー制度変更により、省エネ基準未達の変圧器は補助対象外となる見込み。
- EV充電設備設置費用は、変圧器・キュービクルの新設・増設が必要な場合に数百万円単位で増加する可能性がある。
- 変圧器は納期が長期化しており、発注調整と補助金スケジュールの整合が必須。
- 省エネ型変圧器の選定、再エネ・蓄電池の併用、補助金複合活用が有効な対策となる。
EV充電インフラの導入は、環境対応と顧客サービスの両面で欠かせない取り組みです。
補助金制度の最新動向を正しく理解し、制度変更に備えた戦略を立てることで、全ての申請者が持続的かつ合理的に導入を進めることが可能になります。
補助金を活用すれば、初期費用の負担を大幅に軽減することが可能です。ただし、補助金制度は毎年度の予算や政策方針により細かく変更されるため、最新情報を正確に把握し、適切に申請を行うことが不可欠です。
弊社は全国対応・完全成功報酬制・豊富な実績により、多くのお客様からご信頼をいただいております。充電設備の導入をご検討の際は、ぜひ一度ご相談ください。補助金制度を最大限に活用し、安心・確実な導入をサポートいたします。
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