
IT導入補助金2025・通常枠
審査項目と加点項目
中小企業や小規模事業者がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する上で、有効な支援策である「IT導入補助金2025」。
その中でも最も活用が広い「通常枠(A・B類型)」について、この記事では、申請の際に重要となる審査ポイント、加点項目、そして意外と見落とされがちな減点項目まで、詳細に解説いたします。
IT導入補助金2025では、申請内容に対して事業面と政策面の2つの観点から審査が行われます。
本制度は単なる「ITツールの購入補助」ではなく、事業者の経営改善・生産性向上を本気で支援するための施策であるため、補助金の採択に向けてはこの審査基準を十分に理解しておく必要があります。
◇IT導入補助金2025「通常枠(A・B類型)」とは?
IT導入補助金2025の通常枠は、中小企業・小規模事業者が生産性向上や業務効率化を目的としてITツールを導入する際に、その費用の一部を国が補助する制度です。
- A類型:業務の一部機能を効率化するためのITツール導入(例:勤怠管理、会計、受発注など)
- B類型:より高度な業務改善や全工程を連携させるITツールの導入を支援
賃上げが難しい状況下にある中小企業に配慮された制度変更です。
補助額や対象ツールには違いがありますが、申請・審査の流れは共通しています。
【1】事業面からの審査項目
ここでは、申請者の経営課題の理解度や改善計画の妥当性、ITツール導入との整合性が問われます。審査のポイントは以下の通りです。
審査ポイント:
- ・経営課題の明確化
- 自社の経営状況や直面している課題を正しく把握しているか。
- ・ITツールによる課題解決の適合性
- 導入しようとしているITツールの機能が、課題解決や将来ビジョンと合致しているか。
- ・業務プロセスの最適化とデータ活用
- 社内での業務プロセスを合理化・高度化し、部門間のデータ連携・分析まで視野に入れているか。
- ・継続的な改善意識
- 一度のIT導入で終わるのではなく、持続的な生産性向上に取り組む姿勢があるか。
- ・経営課題の明確化
計画目標値の審査も重要
特に、「労働生産性の向上率」は数値目標として重視されるポイントです。
申請書では、IT導入後にどれくらいの労働生産性向上が見込めるかを、合理的な根拠を持って提示することが求められます。
【2】政策面からの審査項目
政策的な観点からは、政府が重視する取り組みに積極的かどうかが評価されます。
審査ポイント:
- ・生産性向上・働き方改革の意識
- 働き方の柔軟性や業務効率化など、国の方針に沿った改善を行っているか。
- ・サイバーセキュリティの取り組み
- 国が推進する「SECURITY ACTION(二つ星など)」に対応したITツールやセキュリティ体制を選定しているか。
- ・賃上げに取り組んでいるか
- 申請事業者が、従業員の賃金引上げ計画を定めて実行している場合は加点対象になります。
- ・生産性向上・働き方改革の意識
審査通過のためのポイント
- 1.ITツールと経営課題の関係性を明確にする
- →「何のために導入するのか」「どんな効果が見込まれるのか」を論理的に説明することが大切です。
- 2.将来のビジョンや中長期的な活用計画も記載
- →ツール導入後の業務改善プロセスや成長計画にも触れることで、審査員に将来性を印象づけます。
- 3.定量的な効果(例:生産性向上率)を提示
- →数値目標は説得力を生むため、事業計画内で明示しましょう。
◇採択率を上げる!IT導入補助金2025の加点項目【最新版】
交付申請時に、以下の取組みを行っている場合、加点対象となります。加点は審査結果に大きく影響するため、活用可能な項目を積極的に取り入れましょう。
1.地域経済に貢献する事業であるか
まず加点対象となるのは、地域未来投資促進法に基づく「地域経済牽引事業計画」の承認を受けている場合です。
これは地域資源を活用し、雇用創出や経済成長を促す事業に対して与えられるもので、対象期間内であれば加点対象になります。
さらに、「地域未来牽引企業」として選定され、所定の「目標」を経済産業省に提出している企業も加点対象。
地域経済の活性化に寄与する事業者として評価されます。
2.クラウド型ITツールの導入
導入予定のITツールがクラウド製品(SaaSなど)である場合、これも加点の対象です。
クラウドは拡張性・可用性に優れ、業務効率化やDXに寄与する点から、政策的にも強く推奨されています。
3.セキュリティ対策への取り組み
国が推進する「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を選定した場合も加点されます。
サイバーリスクへの備えは中小企業にとっても急務であり、IT導入と同時にセキュリティ対策を講じている点が評価されます。
※サイバーセキュリティお助け隊サービスの詳細はこちら
4.インボイス制度への対応
インボイス制度対応の製品を選定している場合も、加点の対象です。
制度への対応を支援するために、請求書発行・経理処理などが整備されたITツールの導入が評価されます。
※インボイス制度の解説はこちら(国税庁)
5.賃上げへの取り組み
申請金額に応じて、賃上げの取組内容が加点要件となります。
- 150万円未満の申請者の場合:
- 「事業場内最低賃金を地域最低賃金+30円以上」
- 「給与支給総額の年平均成長率1.5%以上」
これらをすべて満たすと加点対象。
さらに「+50円以上」に設定した場合は追加の加点がなされます。
- 150万円以上の申請者の場合:
- 事業計画で「最低賃金を地域別+50円以上」としていることが加点要件です。
6.「IT戦略ナビwith」の活用
申請前に、中小機構が提供するツール「IT戦略ナビwith」で自社のIT戦略を診断し、その結果(IT戦略マップ)を添付した場合、戦略性が評価され加点されます。
gBizIDプライムでのログインが必要なので、事前準備を忘れずに。
※「IT戦略ナビwith」公式ページはこちら
7.健康経営に取り組んでいるか
「健康経営優良法人2025」に認定された事業者も、加点の対象です。
職場環境の整備や従業員の健康促進といった取り組みが、持続可能な経営体制として評価されます。
※健康経営有料法人の詳細はこちら
8.ダイバーシティ経営の推進
以下の認定を取得している企業も、政策的な評価が高まり加点されます。
- えるぼし認定(1段階目~プラチナまで)
- くるみん認定(通常・トライ・プラチナ)
いずれも、女性活躍や次世代支援に積極的な企業としての証明となり、審査上のプラス材料となります。
※えるぼし認定とは?
※くるみん認定とは?
◇まとめ|加点項目は“戦略的に活用”しよう
IT導入補助金2025では、基本的な審査項目だけでなく、加点項目への取り組みが採択率に直結します。
特に以下の加点は、比較的導入しやすいためおすすめです:
- クラウド製品の選定
- サイバーセキュリティ対策
- IT戦略ナビwithの活用
- 賃上げやインボイス対応
これらの条件を意識して準備を進めることで、採択の可能性を大幅に高めることが可能です。
ぜひ、申請前のチェックリストとして活用してください。
詳細な情報や最新の公募要領については、以下の公式サイトをご参照ください。
◇IT導入補助金専用お問い合わせフォーム
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お電話またはメールにてご連絡させていただきます。
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